日本の競馬
ではまずは日本から。
中央競馬
【統括団体】JRA(Japan Racing Association)
【年間売上】約3兆2500億円
【レース形態】平地(芝・ダート)・障害
【競馬場】東京・中山(千葉)・京都・阪神(兵庫)・中京(愛知)など10場
【三冠】
牡馬…皐月賞・日本ダービー・菊花賞
牝馬…桜花賞・オークス・秋華賞
春古馬…大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念
秋古馬…天皇賞(秋)・ジャパンカップ・有馬記念
【その他GI】
芝古馬…安田記念・マイルCS・スプリンターズS・高松宮記念・ヴィクトリアマイル・エリザベス女王杯
馬齢限定戦…NHKマイルC・ホープフルS・朝日杯FS・阪神JF
ダート…チャンピオンズC・フェブラリーS
障害…中山大障害・中山グランドジャンプ
日本はパートI国かつパートIV国。世界的に平地競走のレベルが高く、なおかつ障害競走もやるよ、という国です。芝はもちろんダートもそれなりにレベルは高く、障害競走も年々レベルが上がっています。
ディープインパクトが生まれて以降、ロードカナロアやオルフェーヴル、アーモンドアイといった世界に通用する名馬が市場を賑わせ続けています。
国の面積の割に生産頭数が多く、国内の馬とレースだけで競馬が完結しています。
さすがにアメリカやイギリスには負けますが、パートIの中でも5本の指に入るハイレベル競馬大国です。
日本競馬の最大の強みは、JRAの運営が上手すぎる所にあると思います。
宣伝の打ち方、イメージ戦略も完璧。ここ数年で競馬場の治安も女の子1人で行っても大丈夫なくらいに改善しました。素晴らしいのはそこだけではありません。
まずはレース体系が出来上がりすぎている点。
2歳GIが牡牝マイル1つずつと中距離1、3歳が牡牝三冠とマイルGI1つ、古馬が春秋王道距離三冠とスプリント、マイル、牝馬、ダート、障害が春秋それぞれ1つずつ。
ほぼ全ての平地GIに前哨戦の重賞が2〜3つ(エリ女だけ1つ)、そして宝塚と有馬はファン投票で、ジャパンCはレーティングで出走馬が決定と、ほとんど完成しきってます。
欲を言えば3歳スプリントGIと2歳スプリント路線の拡充、2歳牝馬中距離GIと1400、1800、2400m古馬GIがもう1つ欲しいくらい。(強欲)でも古馬GIはオーストラリアか香港、ドバイに遠征すれば済む話なので、現状がほぼ完成系に近いです。
そして、GIに特別感を持たせた上で、GIIとGIIIにもそれぞれ役割を持たせている点。
日本の特徴として、GII〜GIIIのレベルがとてつもなく高いです。GIII勝ち馬を国外GIIIに連れていくと突き放して圧勝することもしばしば。
他の国ならレースのレーティング(レベル)がGIのラインに到達していたら即昇格させ、GIを週に何度も開催するのですが、JRAは断固としてしません。
↑の札幌記念なんかはずっと前からそこらのGIよりレートが高いのですが、GIにはしないと明言されています。
GIを週1回にすることで特別感を醸し出させ、うまいことPRして収益を上げているのです。非常に商業的です。(世界で1番馬券が売れてる国らしい)
GIIはGIがない時期の大レースまたはGIの前哨戦、GIIIはGIに直結はせずとも勝てば目指せるくらいの間隔で配置してあり、「なんでこの時期にこんなレースあんの?」が一つもありません。本当に無駄が無い。
日本は三冠レースを世界で最も重要視しています。
他国は長距離レースが軽視される風潮があり、みんな三冠目を回避して他の大レースに行くか、そもそも三冠を意識せずローテーションを組みます。
なので、三冠馬三頭が激突した上の2020年JCみたいなレースは今後起こりうるとしても日本だけですね。3200mGI勝ち馬が国内最強になれるのも日本とオーストラリアだけです。
レースの特徴としては“逃げの多彩さ”が挙げられます。
アメリカ競馬はスタートからゴールまでほぼ一定のペース、欧州競馬は道中ずっとスーパースローで直線だけ勝負みたいな展開がよく見られますが、日本競馬はスタート速くて中盤少し緩んでまた加速することが多いです。その緩みを利用した逃げが多い気がしますね。
また、日本競馬はルール上、相手が何頭いようと1vs多数です。欧州などでは「ラビット」といって、「他の馬を勝たせるために先頭に立ってレースペースを作る馬」を配置することが一般的で、逃げる馬は基本的に他馬を勝たせるために走ってます。(日本でも無いことは無いけど欧州ほど露骨じゃない)
しかし日本はそうはいかないため、先頭に立った時の逃げ戦法がかなり研究されているように思います。海外騎手は日本で逃げ切り方を学ぶことが多いとか。
だからパンサラッサのような馬が海外遠征すると、日本の逃げ馬を知らない騎手がみんな付いていって潰れがちです。(2022ドバイターフ)
地方競馬
そして地方競馬。
【統括団体】NAR(National Association of Racing)
【年間売上】約1兆円
【レース形態】平地(ダート・芝)・ばんえい
【競馬場】南関東(大井・船橋・川崎・浦和)、盛岡(岩手)、園田(兵庫)、名古屋、帯広など15場
【三冠】ダート…羽田盃・東京ダービー・ジャパンダートクラシック(2024〜)
【名物イベント】JBCデー(JBCクラシック、スプリント、レディスクラシック(牝)、2歳優駿(JpnIII))
【GI・JpnI】東京大賞典、帝王賞、川崎記念、かしわ記念、さきたま杯(2024〜)、全日本2歳優駿
【その他主な地方馬限定重賞】
南関東…大井記念、東京記念、ロジータ記念(牝)、習志野きらっとスプリント、ゴールドカップ
近畿…園田金盃、兵庫大賞典、楠賞(3歳)
門別…道営記念、道営スプリント
岩手…桐花賞、ビューチフルドリーマーC(牝)、OROカップ(芝)
高知…福永洋一記念
名古屋…東海菊花賞
金沢…百万石賞
佐賀…鳥栖大賞
笠松…オグリキャップ記念
帯広…ばんえいダービー、ばんえい記念
中央競馬とは別に地方競馬が存在します。地方競馬がある国は珍しくないんですが、日本は地方競馬のあり方が珍しいです。
日本の地方競馬は中央に負けない影響力を持っていますし、中央競馬とも交流します。
本来、地方競馬は裏方、中央競馬が競馬の花形となっても不思議では無いのですが、競馬法という枷が中央競馬の開催日数に制限をかけてしまっていて、ダート競馬を拡充するには日数が足りないのです。
なので、JRAと地方が協力し、「交流重賞」という形で中央馬VS地方馬の大レースをいくつも開催しているのです。
地方は中央との結び付きが強く、地方自体の運営も素晴らしいため(特に大井)、売上が凄いことになってます。全場大黒字です。
地方の売上は競馬場のある地方自治体にも入るため、賭けてる我々はふるさと納税できてます(語弊しかない)。地方競馬が資金力で殴れる国は間違いなく日本だけです。
JRAはレートが足りないレースは国内のみGI表記にして国際GIIとして開催することもできるんですが、これも興行的な観点から一切やってません。
それに感化されてなのか、地方もレートが足りないレースは国際格付けを行ってません。GI東京大賞典以外は海外からすればただの国内重賞なのです。
(2030年代には全重賞が国際化される予定)(帝王賞はフェブラリーS以上のレートがあるのに非国際GI)
地方競馬と中央競馬はもちろん異なります。
まずこれが中央のダート。
“砂”って感じのコースですね。そして海外より中盤のペースが緩みやすいです。芝に比べると前有利ですが日本は差しもそこそこ決まりやすく、ゴール前がアツい展開になったりします。
そしてこれが地方のダート。
まず気になるのがナイター開催。地方は夜でもラストレースが9時前までなら可能になってるので、8時台に重賞があることも結構あります。そしてダートの質感ですが、中央よりはちょっとだけ土に近い気も…?
大井は国外ではまず見ないダート右回りコースです。国際化のためか、つい最近左回りも開催可能になりました。地方に強い外国馬が来る日も近いかも。
そしてこれが地方所属馬限定レース。
川崎のSI、ロジータ記念。
中央で馬の名前が主題になってるレース名はセントライトとシンザンくらい(あとディープとトキノミノル)ですが、地方はそういうのが中央よりは多い印象です。
ハイセイコーとかオグリキャップとかホクトベガとかメイセイオペラとか。
(※なお、普通のレースに「クリソベリル賞」とか「サンダースノー賞」とか付いてるアレは「スタリオンシリーズ」といって勝ち馬の関係者に種牡馬の種付け権が貰えるレースなので、特に記念競走という訳ではないです。若干ややこしい。)
SIというのは「地方競馬独自の格付け」です。GIとか言えたらいいんですけど、世界の格付け委員会から「やめようね」と言われてる上に、中央競馬との兼ね合いもあるため、仕方なく地区独自のグレードを設けています。南関東はSI、岩手はM1、門別はH1みたいな感じです。(覚えなくていい)
だいたいこういう地方グレードがある所と、競馬場に地方専門の「競馬ブック(予想紙)」が売ってる地区は馬のレベルが高い傾向にあります。次点でケイシュウ。
ですがここに当てはまらない高知競馬の馬質と環境がここ数年で急速に向上しており(以下略)
話を戻します。↑の勝ち馬はスピーディキック。3歳までで1億5000万を稼いでおり、交流GII関東オークス3着、中央GIフェブラリーS6着の実績もあります。
地方は中央には敵わないのでは?みたいな先入観を持たれる方も多いかもしれませんが、超上位層は平気でGIに出走してきます。応援のしがいがある。
話は飛びますが、重賞だと勝負服が騎手の勝負服か馬主の勝負服かの選択制になっている地区が多く、ここでは1着スピーディキックの御神本騎手、2着コスモポポラリタの達城騎手、4着クールフォルテの笹川騎手などが騎手の勝負服で挑んでますね。
地方競馬を見ると嫌というほど騎手の勝負服を見るので、沼にハマるとどの騎手がどこにいるか一目で分かるようになります。
某馬主さんは中央と同じにしろと仰ってましたが、海外競馬みたく馬の位置取りがトラッキングされてるわけでもないので、重賞でも騎手の勝負服を着てくれるのは判別が付きやすくてありがたいです。逆に馬主服着てる馬はだいたいが大馬主やクラブ法人の馬。これはこれで地方独自の文化として好きなんですよね(早口)
障害競走
障害競走も見ときましょう。これは現在では中央競馬のみの開催です。
ミニマムなコースながら障害の種類とコーナーが多く見てて飽きないし、レースする側にとってはハードなコースです。洗練されててとても良いです。
平地と区別するためか、障害GIはJ・GIです。別に障害は平地みたく世界的なレーティング規格があるわけでもないのでGIと銘打ってもいいはずなんですが、便宜上分けてますね。
JRAはあんまり障害に力を入れておらず(というか競馬法の縛りで障害レース増やせないしむしろ削らなきゃ厳しい)、もう何年もレース体系が変わってません。ペガサスジャンプSとかかなりハイレベルなのにずっとオープン戦のままなんですよね…平地重賞はYouTubeで動画上がるのに障害は無いし。悲しい…
ばんえい競馬
そしてもう1つ。日本独自のばんえい競馬も。こちらは地方競馬。
日本の帯広でしか見られない貴重なレースです。
ゴールラインをソリの端っこが通過しきった瞬間がゴールという、珍しい判定基準。
サラブレッド(軽種馬)とは異なる重種馬による競争。めちゃくちゃタフでハイパー大人しい品種を使ってます。なのでムチにも従順に反応するし、打たれ強いです。サラブレッドとは違います。
競馬はサラブレッド以外を使っても行われるものなのです。
区分としては地方競馬ですが、当然地方の中でも別物として扱われてます。でも重賞は多いしオープン戦でもBG1級の名馬が対決する事もあるので、ばんえいだけを日々追いかけてても楽しいです。
では、日本以外のアジア各国を見ていきましょう。
アジアの競馬
アジアの競馬勢力図は日本VS中東VS香港(VSダークライ)ですが、香港は諸事情により後ほどの紹介になります。
アジア各国は日本と距離こそ近いものの、日本とは全く異なる性質をしています。
以下に各国を紹介していきます。
UAE(アラブ首長国連邦)
【統括団体】ERA(Emirates Racing Authority)
【レース形態】平地(芝・ダート)・アラブ種
【競馬場】メイダン
【開催期間】毎年10月下旬〜4月上旬
【名物イベント】ドバイワールドカップデー
◆DWCデー開催
・G1…ドバイワールドカップ、ドバイシーマクラシック、ドバイターフ、ドバイゴールデンシャヒーン、アルクオーツスプリント、ドバイカハイラクラシック(アラブG1)
・G2…ゴドルフィンマイル・UAEダービー、ドバイゴールドカップ
◇スーパーサタデー開催
ジェベルハッタ、マクトゥームチャレンジR3、ドバイシティーオブゴールド(G2)など
アジア内でも日本と並んでトップクラスの国、UAE。
馬の生産は行っておらず、主にアイルランド、イギリス、アメリカで生まれた馬を調教しレースを行っています。
欧州を席巻する大馬主、ゴドルフィンの支配下にある国なので、そういう馬たちが走ります。
ゴドルフィンのオーナーはモハメド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥーム殿下(UAE首相)なのですが、UAE競馬の統括団体、エミレーツレーシングオーソリティの会長を務めるのはシェイク・マンスール・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン殿下(UAE副首相)。モハメド殿下の娘婿さんです。
もちろんGIマクトゥームチャレンジのマクトゥームはモハメド殿下のマクトゥーム一族に由来するものです。これはもう日本で言うなら社台グループがJRA運営して吉田賞(GI)やるようなもんですからね。殿下が殿下だからできる力業です。
ところで、ゴドルフィンの勝負服には「Fly Emirates」の文字が刻まれています。なんかかっこいいんですよね、これ。
これはドバイ発の航空会社、エミレーツ航空のスローガンで、この会社がゴドルフィンのスポンサーであることに由来します。エミレーツの意味が「(アラブ)首長国」なので、スローガンがエミレーツ航空にもゴドルフィンにも刺さるというwin-winな関係。
先述の通り、国の競馬を管理する立場にモハメド殿下の関係者の皆様がいるためか、ゴドルフィンの馬の名を冠したレースも多いです。ドバイミレニアムS、ブルーポイントスプリントなど。
ドバイの風物詩といえば、3月に開催される「ドバイワールドカップデー」。1日に9つもの重賞競走が開催されます。
メインレースのドバイワールドカップは春のダートGI最高峰として君臨しており、過去10年に渡ってUAEとアメリカの馬が勝ち続けてます。
こうして見ると日本のダートと質感がかなり違いますね。
もちろんこれもモハメド殿下が作ったレースですし、ドバイミレニアムの馬名は「2000年のドバイWCに勝てるよう」命名されました。それで本当に勝ったんだからそりゃ記念レースも作るよなという。
上の動画の勝ち馬はゴドルフィン所有UAE調教馬サンダースノー。ちなみにこれは連覇。父母父が殿下所有のJC勝ち馬シングスピール、母父も殿下所有ドバイディスティネーションと、殿下ゆかりの血統でもあります。そして何故か今は日本にいます。(だから地方競馬でサンダースノー賞とかやってる)
このレース、1着賞金は日本円にしてなんと8億。宗教の関係で馬券を売れないため、資金はほとんど競馬を愛する殿下か王族の皆様が拠出してるはず。それで四半世紀続いてるんだからすげえよアラブの王族…(マクトゥーム一族の資産は数千億単位と言われているらしい)
もちろん芝のレースも開催していて、ドバイターフ(芝1800m)は日本馬の庭と化してます。2014年以降、日本馬が馬券に絡まなかった年はありません。日本馬軸のワイド買っとけばいいレースです。
一方DWCデー準メインのドバイシーマクラシック(芝2400m)はBCターフや凱旋門レベルのGIを平気で勝てる強豪に日本馬が屈する年が続いてました。
↑の勝ち馬はドバイミレニアムの玄孫にあたるミシュリフ。2着と3着が日本馬という惜しい結末でしたが、22年にシャフリヤールが雪辱を晴らしてくれました。今年はどうなるか。
ドバイWCデーの開幕戦は純血アラブ種限定のGI、ドバイカハイラクラシック。
分からない人のために説明すると、純血アラブがポケモンでいうイーブイなら、サラブレッドが進化後のブイズです。
(↑雑〜に説明した三大始祖の記事。アラブ種の説明もしてます)
三大始祖含む純血アラブ種が交配されまくって、スピードだけに特化した品種となったのがサラブレッドです。ポケモンでいう努力値AS極振りですね。代償として性格がやんちゃ(気性荒め)になりました。
アラブはスピードはさほど速くないですが、そのぶんサラより頑丈。日本では見られないレースを楽しむのもまた海外競馬の楽しみ方です。
サウジアラビア
そんなUAEに対抗し、1着賞金11億円の大レース、サウジカップを作っちゃったのがサウジです。狂ってる。
【統括団体】JCSA(Jockey Club of Saudi Arabia)
【競馬場】キングアブドゥルアジーズ
【開催期間】6月〜3月
【名物イベント】サウジカップデー
◆サウジカップデー開催
・G1…サウジカップ
・G3…リアドダートスプリント、サウジダービー、レッドシーターフH、1351ターフスプリント、ネオムターフカップ
パートII国ながら、サウジは世界で最も勢いのある国です。元々競馬は盛んだったのですがここ数年の勢いは凄まじく、UAEに対抗し急にサウジカップデーを創設。競馬が盛り上がるなら何でもOKです。
サウジCデーもレース多数が行われます。ドバイと似たような感じです。もちろんアラブGIもあるし、芝も色んなレースがあります。
サウジは実況が何言ってるか分かんないんですけど面白いんですよね。ゴール前でオポオポしがち。勝ち馬の名前もしばらく言わない。
動画は日本のソォングラァイン(ソングライン)が勝った1351ターフスプリント(芝1351m)。
レース名の由来はサウジアラビアの建国年であるヒジュラ暦1351年(西暦1932年)から。日本も平安Sダート794mでやりゃいいのに(暴論)
サウジに出てくる日本馬はみんな癖の強い発音で呼ばれるので今年も注目です。僕のお気に入りはピン=カミハミハ(ピンクカメハメハ)とオジョリティー(オーソリティ)でした。
今はまだドバイを模倣して同じ土俵に立とうと努力してるサウジですが、いずれ独自の特色が出てきた暁には本家を超えられるかもしれません。
サウジC以外のレース(とくに芝)は日本馬に蹂躙されてたので、これから他国がどう出るかも注目です。
ドバイとサウジに挟まれたバーレーンも22年にパートII国入りしてます。今後注目ですね。
その他
🇹🇷トルコ
パートII国。サラブレッドとアラブのレースが開催されてます。立地的にはほぼヨーロッパでも、競馬は意外とアジアナイズドされてるっぽい?
面白いのが血統。海外種牡馬を積極的に輸入してるトルコですが、なんと、キングヘイローの高松宮記念で2着だった日本馬、ディヴァインライトが現地で種牡馬になり、トルコ国内のGI馬を3頭輩出。うち2頭はダービー馬なんだそうです。ドバイWCを勝ったヴィクトワールピサもここで種牡馬やってます。日本馬の血がこうして繋がっていくのはいいことですよね。
🇮🇳インド
パートII。インド競馬はかなりの歴史があるみたいです。
日本との縁も深く、日本初の海外重賞勝ち馬ハクチカラが引退後に国内で冷遇(種牡馬的な意味で)された際、寄贈を引き受けてくれたのがインドなんだそうです。しかもハクチカラから優秀な馬がかなり出たとか。その縁もあり、第1回ジャパンCにインドの馬が出走しています。
競馬場も多いし、経済的地盤もしっかりしてるため、競馬を発展させる土壌はあるはず。いつかサウジに並ぶ急成長を遂げてほしいです。
🇸🇬🇲🇾シンガポール&マレーシア
なんで2ヶ国合わせて紹介するのかというと、競馬の運営が共同で行われてるからです。(どちらもパートII)
その昔はシンガポール航空インターナショナルCとクリスフライヤーインターナショナルスプリントという国際GIが開催されており、シンガポールICの方は日本馬が二度勝ちました。が、近年になって両方廃止になりました。
基本的にオセアニアの生産馬を輸入して調教しているみたいです。
🇰🇷韓国
パートII。とは言ってもダートのみの開催。芝コースはこれから建設するらしいです。
肝心のレースレベルも日本のGIII馬に大差負けが関の山だったんですが…
GIII昇格後初のコリアスプリントで、最後の最後に日本馬ラプタスをかわしたのは地元馬オマオマ。
ラプタス自体が右回り1400mでしか勝利経験のない馬なので疑問こそ残りますが、走破タイムやコース形状を考えると、勝ち馬オマオマは東京スプリント(JpnIII)でも間違いなく勝負になる馬。
日本のダートスプリント路線は現状レッドルゼル、レモンポップ、ダンシングプリンスくらいしか世界で戦える馬がいないので、韓国馬にしてやられる未来も見えてきました。面白くなってきましたね。
コリアスプリントがダートGIになれば日本馬的にもかなり助かりますし、韓国競馬の躍進を期待しています。
ちなみにソウル競馬場からしばらく西に進むと仁川(インチョン)市があります。仁川(にがわ)の舞台は坂がありますが、ソウル競馬場は至って平坦です。
🇶🇦カタール
サウジ同様、やろうと思えば今すぐにでもパートII入りして国際GI作れる国です。
競馬は資金力がものを言うため、石油大国の王族が馬主業始めちゃうととにかく強いです。
サウジの王族だったジャドモントファームのオーナーは亡くなられたのですが、親族が凱旋門賞馬トレヴ(アルシャカブレーシング)の馬主やロアリングライオン(カタールレーシング)の馬主をしているため、ここ一帯がオイルマネーで潤ってます。
UAEが東京、サウジが大阪だとしたらカタールは名古屋くらいの距離感(バーレーンは京都か滋賀)なので、立地的にも完璧なんですよね。
そんな中カタールはサウジとは別路線の壮大な計画を企てています。2月下旬に行われるエミールズスウォードフェスティバルというサウジカップデーみたいな祭典のメインレース、エミールズトロフィー(芝2400)が今年、1着賞金1億8500万円まで増額されました。
そして出走したのがさっきも書いたキーファーズ松島オーナー&クールモア共同所有のフランスGI馬ブルームと、クールモア&ウェスターバーグのBCターフ2着馬ストーンエイジ、香港GI2勝ロシアンエンペラー。
そしてロシアンエンペラーが勝利。香港GI馬が勝ったのでパートII昇格も現実味を帯びてきました。
上位入着馬の血統から見るに、香港ヴァーズに近い傾向のレースなんでしょうか。日本馬天国になるのかどうか。JC→ここ→ドバイシーマローテが確立されれば2400マイスターの春が来そう。
【次ページ】ヨーロッパの競馬
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