皆さま、新年明けまして競馬楽しめてますか?
早いものでもう2月。いよいよ国内でもGIが開催されるシーズンとなって参りました。しかし今年は年明けからあの馬もこの馬も海外に遠征…
特に、2023クラシックで活躍を見せたサトノグランツがカタールに遠征するのはセンセーショナルなニュースです。か、かたーる…?強いのか…?と困惑している競馬ファンも少なくないでしょう。
以前、弊サイトで海外競馬についてある程度解説はしましたが、どの季節にどのレースが開催されてて〜、といった話は出来てませんでした。
なので今回は、主に日本馬が遠征しそうな国を中心に、世界のG1レースの日程を(雑な)カレンダーに落としこんで解説していこうと思います。よろしくお願いします。
↓先にこれを読むともっと面白くなるかも
前置き
↓はパート1国、要するにTier1、ハイレベルな国の競馬場を中心にまとめたマップになっております。
今回の記事では、パート1国の中だとニュージーランド、南アフリカには一切触れずに参ります。本当は触れたかったけど取り上げるとカレンダーが破綻します。
スクロールすると下にチラッとカレンダーが見えてるかと思いますが、各国または各州ごとに区分を分けて、だいたいどの時期にどのレースが行われているかが把握できるようになっています。
スーパーハイレベル、または高額賞金レースは星マーク(芝は☆、ダートは★)を付けてます。日本だけはGI並のレートを有しているハイレベルGIIもカレンダー内に書いております。
あくまでこれは2024年版。アメリカはここ10年でGIが20近く減っているため、このデータが永久保存版でないこともお見知り置きを。なお、2023年比でGIIに降格してしまった元GI競走も記載しております。
冬シーズン(1〜3月)
【凡例】
☆…国または地区の中でも有名な芝のビッグレース
★…国(以下略)ダートのビッグレース
👑(王冠)…各国のクラシック
(ほんとは牝馬限定レースとかも判別付けた方がいいと思うので、時間あれば編集します)
冬なので北半球はどの国もお休みモード。ヨーロッパなんかそもそもこの季節は障害競走メイン。平地は開催してないです。対して南半球はG1てんこ盛り。そしてアジア圏ではカーニバルレースが乱発されてますね。
日本
まずは日本。GIとしてはフェブラリーSと高松宮記念(と日程の都合により3月と4月を反復横跳びする大阪杯)がありますが、先述したカーニバル開催の影響でメンツが薄くなりがちです。
絶対的な王者がサウジやドバイに行くため、上位人気だけでなく下位人気の馬が勝ってもおかしくない、いい意味で日本のGIっぽくないGIになりがちです。今年のフェブラリーSなんかまさにそうなりそう。翌週がサウジカップだもんなあ…
追記:なりました。11番人気1着てオイオイ
一方で、春のGI戦線に向けたGIIレースは数多くあり、中でも京都記念、中山記念、金鯱賞の3レースはGI馬やGI級の古豪が名を連ね、他の国の大レースと同等のハイレベルな争いが繰り広げられます。
ここで実績を作った馬も海外に行くことが多いため、京都記念は大阪杯、中山記念はドバイターフ、金鯱賞は香港QE2世Cの前哨戦になりがちです。いっそのこと京都記念も外回り2400mになればドバイシーマクラシックの前哨戦として機能しそうで面白そう。
アメリカ
アメリカはなんと言ってもペガサスワールドカップデー。1月に開催されるレースとしては世界最大規模なんじゃないでしょうか。
90年代から大レースとして親しまれていたドンハンデキャップを改称、世界最高賞金額のレースとして生まれ変わらせたこのレース。2017年に開催された第1回の1着賞金は驚異の700万ドル。現在の相場でなんと10億円でした。
しかし、“出走枠を100万ドルで買う”というシステムが人気を阻害したのか、年々レベルが低下。今では登録料が撤廃された代わりに、賞金も減額。1着賞金は2億5000万円程度にまで下がっています。
このレースもその他メインレースにペガサスワールドカップターフ、ペガサスワールドカップフィリー&メアターフ(GII)などがあり、1日に複数大レースを行う、世界のトレンド“フェスティバル開催”となっています。日本じゃJBCでしか見られないやつ。
こういうフェスティバル系の高額賞金レース群は、国内だけでなく海外からも有力馬を集め、レースレベルと射幸心を上げるのが必須条件なのですが、ガルフストリームパーク競馬場がアメリカの東海岸(ヨーロッパに近い方)にあるため、ドバイや日本から有力馬が集まりにくいのが難点です。
ペガサスWCターフは小回り得意な日本馬にはうってつけのレースなのですが、遠征費と賞金、どちらを取っても香港カップに出た方がお得なため、当レースは米国VSヨーロッパ(ほぼクールモア)で終わります。
ペガサスWCの方は勝ち馬にサウジカップの優先出走権が付与されるとはいえ、強い馬はBCクラシックなどからサウジやドバイに直行するため、やや層の薄いレースになりがちです。されど腐っても上澄みのGI。降格の心配はないでしょう。
アジア
アジアのビッグレースはカタールから。
以前、例の記事で「今後に注目」と書いてはいましたが、あっという間に2024年からパート2国に昇格、ついにアミールトロフィー(芝2400)が国際G3になりました。
↓例の記事
(上の記事にプラスしてうんちくを語ると、カタールレーシングのオーナー、ファハド殿下は日本競馬でも馬を所有しており、その中の1頭がローズS勝ち馬アートハウス。川田将雅騎手がスターズオンアースの騎乗依頼を蹴ってまでオークスに連れて行ったあの馬ですね。川田さんは母のパールコードへの思い入れが強かったようなので、今後も川田血統として日本で活躍して欲しいものです。)
間違いなく今後はG1になるレースだと思うので、そうなるとますます日本馬が海外へ羽ばたいて行きそうですね。アルライヤン競馬場は日本馬VS香港馬VS欧州馬の殴り合い会場になるでしょう。
(2/18追記:日本馬が2〜4着独占。ある程度読めてたけど日本VSクールモアの会場になりそうですね。)
カタールの後はサウジ、ドバイと続きます。
あっという間に日本馬が勝って夢を手にしてしもたサウジカップでございます。
今年から日本でも馬券が買えるようになってしまった絶望。我々も我々で勝ちたいですね。
未だにキングアブドゥルアジーズ競馬場(言いにくい)の馬場は傾向が掴めず、ダートは芝馬にも走れるような感じになっています。なお、サウジのダートで好走した馬はドバイで負けがちです。逆も然り。
一方芝はほぼ日本なので、強い日本馬は余裕で勝ててしまう高速馬場です。見ていて気持ちがいい。
サウジカップがメインレースとして鎮座するサウジカップデーですが、アンダーカードのネオムターフカップ、1351タープスプリントがG2に昇格し、サウジダービーとリアドダートスプリントはG3のまま。前の2レースが将来的にG1になるんでしょうか。
ドバイの前に香港を挟みます。
香港の冬期大レース群は基本的に香港馬限定で争われるのですが、中でも印象的なのが、日本の古馬三冠に相当する“香港トリプルクラウン”、そして“香港短距離三冠”、“香港クラシック三冠”。この3つです。
香港クラシック三冠、中でも香港ダービーはここ数年、後のG1馬の登竜門となっており、中でもクラシック三冠馬ゴールデンシックスティは後にG1を9勝しています。引退レースで10勝目を飾れるかどうか。(ちなみに引退後は北海道で余生を謳歌するらしい。オジュウチョウサンとのツーショットとか見てみたい)
しかし香港のクラシックはまだ格付けを得ておらず、国際的にはリステッドとして扱われています。日本の東京ダービーみたいなものですね。
古馬G1しか存在しないのも大きいですが、香港のG1(総数:12)は世界のトップ100G1レースに全てランクインしています。そんなのはもちろん香港だけ。
地元馬はダービーや三冠レースを繰り広げつつ、春のチャンピオンズデーに向けて英期を養います。
そして3月、ドバイワールドカップデー。
メインのDWC以外にもアルクォーツスプリント(芝1200直)、ドバイゴールデンシャヒーン(ダ1200)、ドバイターフ(芝1800)、ドバイシーマクラシック(芝2400)ら4つのG1に加え、ゴドルフィンマイル(ダ1600)、ドバイゴールドカップ(芝3200)、UAEダービー(3歳限ダ1900)ら3つのG2とアラブ種のG1レース、合わせて9つの大レースが開催されます。
アルクォーツは高松宮記念、ゴドルフィンマイルとドバイGSはフェブラリーS、ドバイターフとドバイSCは大阪杯、ドバイGCは天皇賞(春)、UAEダービーは羽田盃と出走馬のパイを分け合うため、春の日本はガラ空きになりがちなのです。
ただ、アルクォーツは1200m直線のため日本のスプリントと全く違う適性が求められ、惨敗するケースも多く見られますね。2000ギニー(日本でいう皐月賞だが直線コース)などの直線G1走った欧州馬が強いです。そのため強いスプリンターは春は国内専念、秋は香港というローテが一般的です。
とはいえ日本馬が後手を踏まされているのかと問われるとそうではありません。アルクォーツ、ドバイGS以外のレースでは全て日本馬が勝っています。5年以内に集計を絞っても勝っています。(ドバイGSでもレッドルゼルが2着経験あり)
日本と海外のダート戦では全くペースが異なるため、ドバイWCの道中では日本馬だけ置いて行かれることが多いですが、直線が長いから追い込みが届くため、強い日本馬(特に川田将雅騎乗馬)はゴール前あたりで追い込んできます。後は届くかどうか。
ちなみに、以前までは2月にDWCデーの前哨戦(ジェベルハッタなど)を配置したスーパーサタデー開催が行われていたのですが、カタール、サウジとの兼ね合いで24年から1月に移動しました。ここ数年は存在感の薄かったスーパーサタデーですが、これがどのような流れを生むか。注目です。
南半球(オーストラリアほか)
オーストラリアはクラシックも始まり、熾烈なG1シーズンが幕を開けます。
2月から4月のレース群を総称して、「シドニーオータムレーシングカーニバル」。
(南半球では秋なので)
目立つのは2月のコーフィールド競馬場、3月のローズヒルガーデンズ競馬場での開催と、3月のジ・オールスターマイル。
日本にも安田記念やスプリンターズSといった頂点を決めるレースはありますが、オーストラリアのそれは“チャンピオンシップ感”がより強く、超高額賞金レース群がわんさかあります。オールスターマイルもその中の1つです。
年によって開催地が変わる持ち回り開催となるため、権利関係でG1格付けが取得できてなかったり、公式動画が上がってなかったりします。なので代わりにジョージライダーSを見ていきます。
3月のローズヒルで行われる、1500mの短距離決戦、ジョージライダーS。賞金こそ少ないですが、出世レースとして知られています。日本馬リアルインパクトが勝ったことでも有名なレースですね。
オーストラリアのお馬さんはタフとかいう次元ではないくらい頻繁にレースに出走します。例えて言うなら日本の地方競馬の下級クラスくらい。「6日前に名前見たぞ…?」すら有り得てしまう狂気の戦場です。
なので、ジョージライダーで叩いた馬は4月のロイヤルランドウィック開催で力を出し切り休養に入ります。日本で例えるとマイルCS→香港マイルみたいな過密ローテですね。(日本とは)
その他の国もサクッと紹介。🇳🇿ニュージーランドでは1月に馬産地カラカの生産馬限定の高額賞金レースフェスティバル、カラカミリオンが開催。日本馬サトノアラジンの産駒が猛威を振るっています。古馬重賞は1月のレイルウェイSやソーンドンマイルなど、3月には2歳G1最高峰のシステマSやNZダービーも開催され、1年の中で最も競馬が盛り上がるシーズンです。
🇦🇷🇧🇷🇨🇱🇵🇪南米競馬もオセアニア同様、この時期からクラシックがスタートし、大きな盛り上がりを見せていきます。
一方🇿🇦南アフリカでは1月開催が夏開催のフィナーレ。南アフリカ三大レースの1つでもあるサンメットや、キングズプレートといった大レースが行われます。どっちも芝レースです。
春シーズン(4〜6月)
春に入るとクラシックシーズン。
日本は5〜6月にかけての東京競馬長期開催、アメリカはケンタッキーダービーシリーズ、イギリスはロイヤルアスコット、香港はチャンピオンズデー、豪州はザ・チャンピオンシップス、南米はラティーノアメリカーノ、アルゼンチンのエストレージャス大賞と、各国チャンピオンシップ的なレースが多数開催されます。
日本
24年から芝とダートで三冠競走が本格化することもあり、ますます魅力が増した春シーズン。
言わずと知れた日本ダービーは日本の中でも有数のハイレベル・大人気GIで、普段は競馬を見ない人でもダービーと有馬記念だけは、というのがライト層の典型例だったりもします。
10年くらい前までは2分23秒台出したら怪物扱い、それも勝ち馬はかなりの反動を強いられるほどの激走だったはずなのですが、↑のこいつが2分21秒台出してなおピンピンしてるのでもう何がなんだか。馬場の質が上がったのか、↑がタフすぎるのか。
3月4月はアジア圏の他国のG1に出走メンバーを割かれてこじんまりする国内古馬戦線ですが、5月以降は大いに盛り上がります。
中でも豪華になりがちなのが、ヴィクトリアマイル、安田記念、宝塚記念、そして帝王賞の4レース。
以前は夏の暑い時期だからと宝塚を回避する馬も多数いたのですが、調整環境の変化か、フルゲートになる年も多くなってきました。昔のデータはアテになりませんね。
芝のチャンピオンシップは宝塚記念。対して、ダートのチャンピオンシップが帝王賞です。
年によっては日本のダートレースの中で1番のハイレートを有しているにも関わらず、色んな制約があって国際GIにすることができない可哀想なレースです。GI化は最速で2030年代の模様。
同時期にダートの大レースが無いこと、3月のドバイWC、5月のかしわ記念から転戦しやすいこと、大井2000mというコースがどの枠・脚質の馬もチャンスのあるフェアな良コースであること、初夏だけど宝塚記念と違ってナイター開催だから涼しい環境で走れることが幸いし、地方中央共に現状の最強クラスの馬たちが一堂に会する大一番となっています。ダート中央GIだけ見て満足してる人はぜひ帝王賞を見て欲しい。
なお、春のGIの中でも日本ダービーは人多すぎて動けないに5月の割に暑く、宝塚記念は直射日光と気温のせいでメインまでに水分が枯渇し汗ダラダラ、帰宅後は全身日焼け状態になるため、現地観戦するにしても帝王賞が最適解と言えます。首都圏住みの方にとっては。(水曜開催なので地方民には地獄)
アメリカ
この時期のアメリカはもうケンタッキーダービー一筋。本番に挑むためのダービーがアメリカ各地で行われ、言わばダービー地区予選を戦い抜いた名馬達によるダービー決勝戦として、ケンタッキーダービーが開催されるわけです。
ラニやマスターフェンサーの挑戦により遠征のノウハウが確立されたからか、最近では毎年日本馬がここに挑戦しています。凱旋門賞より制覇が近そうな気もしますね。24年はフォーエバーヤングが出る気配あり。(馬主が馬主だから、勝ったらウマ娘にケンタッキーダービーシナリオが追加されるんやろなあ…)
欧州
3月はチェルトナムフェスティバル、4月はグランドナショナルと障害の大レースが開催されていたヨーロッパ。平地は4月末のフランス、ガネー賞からG1シーズンが開幕し…
イギリスでは全てのダービーの生みの親、ザ・ダービーステークスが開催されます。
東京なんか比じゃないくらい直線の長い謎コースなエプソムダウンズ競馬場。ダービーやってなかったらコース改修されてそう。
ヨーロッパ各国のダービーは出走メンバーのレベル低下(というか欧州競馬がマイル偏重になっている影響)により距離短縮が検討される中、エプソムダービーだけは権威を保っている状況です。(アイリッシュダービーですら距離短縮論が囁かれている)
ダービー勝者が圧倒的高待遇で種牡馬入りする日本と違い、最近の欧州は2400m以下のG1勝ち鞍が無いと障害競走専門種牡馬としてスタッドインしてしまうか、他国(日本とか)に売り飛ばされます。そうして来日したダービー馬がアダイヤー、キングジョージ勝ち馬がフクムです。ちょっと悲しい。
一方で、適性が超長距離に向くと輝ける舞台もあるのが欧州。
5日間に渡ってこれでもかってほど重賞が乱発される、ロイヤルアスコット開催。故・エリザベス女王陛下も生前は自分の持ち馬の出走を全力で応援していました。
圧倒的な心肺機能を有している馬にのみ走破できる、4000mG1、ゴールドカップ。1000mほどの直線を走り切った後、おにぎり型のコースを右に曲がっていくのですが、とにかく坂がすごい。中山2500mの坂をこなせるシャフリヤールでさえも、アスコット2000mで手応えなく失速してしまうほど勾配がキツいです。
なんでこいつは10馬身もちぎれるんだ…?
香港/オーストラリア
シドニーの秋も佳境。オーストラリアはクイーンエリザベスSやらシドニーCやらドンカスターマイルやらで有名なザ・チャンピオンシップスが開催されます。賞金がかなり良いのでごくごく稀に日本馬も出走します。↑はユニコーンライオン坂井が粘りに粘った23年のクイーンエリザベスS。
アナモーを下してドバイオナーが勝利。アナモーはここを勝てばG1を10勝できたんですが…惜しい。
クイーンエリザベスとドンカスターマイルは24年も日本馬の予備登録があるので、ワンチャン馬券を買わされます。おのれJRAめ。(馬券購入は自己責任ですからね)
そして香港では春の大一番、チャンピオンズデーが開催。同日でG1が3レース開催されます。
2000mのクイーンエリザベス二世カップはほぼ日本馬が独占してたのですが、怪物ロマンチックウォリアーが出てきたので香港G1としての地位を取り戻しつつあります。
一方のチャンピオンズマイルとチェアマンズスプリントプライズは香港馬が強すぎて海外勢はまず勝てません(モーリスを除く)。↑はCデムさん騎乗のアグリがコテンパンにやられてしまった23チェアマンズSP。このレースは香港短距離三冠の最終戦ともなり層が厚いです。
ピクシーナイトが無事なら…と思わずにはいられません。いつか怪物級のスプリンターが出てきてくれれば…
南米
南米では5月6月が競馬の最盛期。6月のエストレージャス大賞(南米版ブリーダーズカップ)に向けて、ステップレースとなるG1が多数開催されます。
エストレージャス大賞はそれこそBCみたいに、様々な条件で複数のG1が開催される競馬の祭典。
エストレージャスがBCなら、ラティーノアメリカーノ(ラテンアメリカ大賞典)は南米版ジャパンカップと言うべきでしょうか。
ブリーダーズカップ同様持ち回り開催で、年によって違う国で開催される珍しいレースです。
建物の都合上、ゴール板過ぎる手前でカメラがピタッと止まることでお馴染みアルゼンチンのサンイシドロ競馬場で開催されたラティーノアメリカーノ’23。制したのは日本馬アグネスゴールドの産駒。
日本の競馬好きが南米産馬をほとんど知らない(知っててもサトノダイヤモンドの母マルペンサや本家BCを制したバヤコアやインヴァソールくらい)のと同じように、向こうのホースマンも日本産馬はアグネスゴールドとシーキングザダイヤくらいしか知りません。理由はどっちも南米でリーディングサイアーに輝いてる名種牡馬だから。でもどちらも後継種牡馬はあまり育っていないようで少し悲しい。
このラティーノアメリカーノ、以前までは3月開催だったのですが、23年のみ10月開催を経由して24年から4月開催に落ち着いた模様。エストレージャスのステップとして丁度いい間隔になったかもしれません。
エストレージャスとほぼ同時期に行われるG1ブラジル大賞。これがブラジル最大のレースです。
勝ち馬は8番のブラジルダービー馬ラプターズ。父は日本のマイルG1馬ハットトリック。鞍上は日本でも大活躍のモレイラさん。ブラジル生まれながらずっとアジア圏で活躍していた彼は23年に久々に帰郷。初めてこのレースを制覇し、涙したそう。
以上が春シーズン。見るレース多くて楽し忙しいですね。
夏シーズン(7月〜9月)
北半球は欧と米が大忙しシーズン。アジア圏はだいたい休止中です。
日本
クソ暑い中の小倉開催を意地でもやめない変な国、
日本。札幌記念は秋競馬の前哨戦として大人気のため、GI馬のエキシビション大乱闘みたいな感じのレースになりがち。実質グランプリレース。夏開催で特筆するレースはこれくらいしかないですね。
ちなみに9月は韓国でコリアカップデーがあります。G3にしては高額賞金なので日本馬に荒らされていますが、パワーバランスは今後どうなるのやら。コリアスプリントはそろそろ日本馬の立ち位置が怪しくなってもおかしくありませんね。地元勢も強くなってきました。
アメリカ
真夏のダービーとも言われる3歳戦、トラヴァーズSや欧州の馬(だいたいクールモア)がかっさらっていく芝レース、ソードダンサーSやらがありますが、記憶に新しいのは…
フライトライン神が2着を19馬身突き放した伝説のパシフィッククラシックですね。
これの何がキショいかって、突き放した2着が2走前にドバイWC勝ってて、アメリカ歴代でベスト3に入るくらい賞金稼いでるカントリーグラマーなんですよね…怖…そらレート140付くわ…
全体的にBCに向けて条件の似たレースが多めです。
欧州
イギリスの開催が続き、それに付随してアイルランドもちらほらという感じ。キングジョージ、グロリアスグッドウッド、イボアフェスティバルと愛チャンピオンSデー。
KGVI&QES(キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス)はロイヤルアスコット開催と同じアスコットコースで行われる2400m戦。イギリス最高のレースであり、こないだマイルCSを制したナミュールの父、ハービンジャーが後続を突き放してレート135(イクイノックスと同値)を叩き出し引退した事でも知られています。恐ろしい。
こんな名馬でも日本に来るんだからどんだけ中長距離成績が軽んじられているかが分かってしまいますね…
イボアフェスティバルでは欧州最大のハンデキャップ競走、イボアHが行われるのですが、それより我々が注目するのは同時期に行われるヨークシャーオークスとインターナショナルSですね。
ラヴズオンリーユーとクロノジェネシスを競り負かしたミシュリフを子供扱いしたバーイードに恐怖を覚えた競馬ファンも多かったでしょう。この馬のレートもイクイノックス、ハービンジャーと同値の135。フライトラインの140は近いようでめちゃくちゃ遠いですね。
アイルランド最高峰のレースと言えばアイリッシュチャンピオンS。ここから凱旋門賞やBCターフに向かう馬も多いです。
元はパンサラッサも出走を予定していましたが、怪我で断念。ディープ産駒オーギュストロダンと戦っていたら、どんな展開になっていたでしょうか。たらればを言いたくなりますね。
その他
オセアニアは秋開催に向けての準備期間。南米は完全にクラシックシーズンですね。だいたいが3歳戦です。7月には南アフリカ最大の競走、ダーバンジュライが開催されますが、米と欧を除いて8月は完全に空気ですね。
秋シーズン(10〜12月)
全世界で競馬が最も盛り上がるシーズンです。
日本/香港
とにかく日本が熱いシーズン。天皇賞、ジャパンC、有馬記念だけでなく、芝ダート三冠の最終戦に加え、JBCや2歳GIも開催されます。
少数精鋭のハイレベルGIになりがちな天皇賞。マイラー寄りの馬が勝つ年と中長距離馬が勝つ年があり、傾向がかなり変わってくるものの人気決着で終わりがちです。
有馬記念は2400のジャパンカップとは全く適性が異なり、基本的によほどの身体能力を備えた中長距離馬にしか勝てないタフなコースなのですが、ムキムキマイラーみたいな見た目した馬が掛かりながら勝っちゃう訳分からん年もあります。こんな展開読めんて。
そして国内唯一のフルゲート18頭ダートGI、チャンピオンズCも秋開催。外枠引くと1コーナーまでに前にいないと即死確定の地獄コースです。どうにかならんのかこれ。
24年からはJDC(ジャパンダートクラシック)組が参入してくることもあり、更に佳境となることが予想されます。東京大賞典のレベルも上がってくれたらいいんだけど。
香港は12月上旬の香港国際競走がメイン。
阪神JFの週に重なるので、同日に5レースもGIを賭ける日本競馬民は有馬記念前にご破産となります。
とはいえ見応えのあるレース群。各距離のチャンピオンホースが決まります。香港ヴァーズはBCターフ、香港カップはコックスプレートを制して参戦する馬もおり、熾烈な戦いになります。
北米
この時期でもかなりの大レースで、歴史を作ってきたウッドワードSがGII降格のため、やや寂しく映るアメリカですが、それでもブリーダーズカップがあるので強いですね。
BCクラシックがメインレースですが、またフライトラインを取り上げることになるので、ここはBCターフを紹介。欧州馬(ゴドルフィンとクールモア)の狩り場となりがちなこのレースですが、もちろん米国勢にもチャンスはあります。
最後の地元勢勝利はブリックスアンドモルタル。日本で種牡馬入りし、初年度が3歳春シーズンながら既に重賞馬を3頭も出している名種牡馬です。
日本馬的にはクラシックとターフを落とすのは至難の技ではありますが、24年は日本馬にとって好条件なデルマー開催。有り得る気もしています。デルマソトガケとゼッフィーロに期待。
欧州
凱旋門賞の秋です。ヨーロッパだけではなく、アジアやオーストラリアなどからも出走希望の馬が多数参戦。されどヨーロッパ勢以外がここを制したことは無く…
そう思うとコンスタントに掲示板入ってる日本勢ってやっぱ凄いですね。ステイゴールド系の血を絶やさなければいつかは勝てるはず。頑張れオルフェーヴル産駒。
豪州
コーフィールドカップ、コックスプレート、メルボルンカップと、オーストラリアを代表する三大中長距離レースがまとめて一気に開催されるシーズンです。
どのレースも勝つと3億円以上はもらえる大レースであり、日本馬も挑む事は少なくないのですが、香港に比べて頭数が多く遠征費が自分持ちになることからやや人気は落ちます。コーフィールド勝ち日本馬とメルボルン勝ち日本馬の引退後の待遇が良くなかった事も人気低迷に繋がってそうですが。
1着賞金5億超えのリステッドレース、ジ・エベレストも登録料に莫大な金額がかかるので日本から挑戦する馬はまずいません。いつか制覇する馬が現れるといいですね。
南米
南米はカルロスペレグリーニで一年を終えます。↑の勝ち馬エルエンシナルの母父エンペラージョーンズはゴドルフィンの馬で、武豊を乗せて安田記念を勝ったハートレイクの帯同馬として来日したことでも有名です。日本の裏側でも日本にゆかりのある血統は探せばいくらでもいますね。
まとめ
ようやくまとめです。長いよ。そりゃ世界のレースを一年にまとめてるので当然だけど。
冒頭でも書きました通り、カレンダー上はなんとか4枚にまとめた風に見せていますが、本来あそこにニュージーランドと南アフリカを入れなければならず、加えて障害競走も…となるとあと100くらいはレースが増えるかと思われます。多い。
この記事のように全部追ってたら身を滅ぼしかねませんので、馬券を買うレース、リアタイで見るレース、後追いで見るレース、結果だけ見るレースはちゃんと選びましょう。
それでは次回のサウジカップ爆死報告回でお会いしましょう!さようなら〜!(やけくそ)
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